この7日、ついに政府が今回の新型コロナウイルス感染症に対し、緊急事態宣言を発令しました。対象地域に北海道は
含まれていませんが、緊張感は道内でも高まっていると思います。
先月22日のこの欄に、厚生労働省のHPに公開されている数字を元に、感染者数・退院者数・要入院治療者数の推移
をグラフにして掲載しました。 グラフの縦軸の目盛りだけを変えたものを2種類掲載し、同じ数字でも目盛りを変え
ると印象が変わるということも申し添えました。
その時点で「まだ大丈夫」と思わせた、その22日の下のグラフと同じ目盛りで、8日正午までのデータを書き加えた
ものが今日のグラフです。 明らかに増加率が増していて、これを見れば「まだ大丈夫」と思う人はかなり減るんじゃ
ないかと思います。 緑色の線の退院者数が伸びていかないのも気になりますね。
神奈川県で国内最初の感染者が確認されたのは1月15日、感染者数の合計が1000人を超したのが3月22日ですから
感染者が最初の1000人に達するのには2カ月以上かかっていますが、直近では4日かからずに1000人増加しています。
使っている数字は、チャーター便による海外からの帰国者や空港等の検疫で確認された数を除いた国内感染者だけの数
で、集計が正午から翌日正午までなので、メディア発信の数字と多少異なりますが傾向は間違いありません。 この先
を推定すると、状況はかなり深刻です。 もちろん、だからこその緊急事態宣言なんですけれど。
重要なのは、今の感染者数は潜伏期間といわれる14日前後の時間が過ぎた「結果」だということです。 だから7日
に緊急事態宣言を出しても、効果が表れるのは14日後。 それまでは何もしなかったのと同じ率でグラフのカーブが
持ち上がっていくということです。 昨日8日、全国の感染者が1日で400人以上増加したそうですが、今後はこれ
が450人となり500人となっていく・・発令後14日である4月21日前後には1万人を超えるかもしれません。
そう考えると多くの方々が指摘されているように、私も今回の緊急事態宣言は遅すぎたと感じています。
最後まで緊急事態宣言を出さずに済む、と本気で考えていたのなら別ですが、いずれ近いうちに出さなくてはいけない
と考えていたのなら、もっと早く出していた方が経済損失も少なくて済んだんじゃないでしょうか。 個人的には3月
28日から29日にかけて感染者が急増した時に出すべきだったと思っていますし、遅くとも4月1日夕、日本医師会
が「危機的状況宣言」を発表するとともに、政府の専門家会議に対して「日本医師会として緊急事態宣言の早急な発令
を提言したと明言した(医師会会長がそう話したのを生中継で見ました)時点で出すべきだったと思います。 そうし
ていれば感染者数も、ひいては死者数も半分で済んだかもしれないですから。
まあ過ぎたことをいつまで言っても取り返しがつきません。 そもそも緊急事態宣言で感染拡大が抑え込めるかどうか
も判りませんが、今の日本の法制上で緊急事態宣言以上の強制力を持つ手段はないわけですから、あとは何とか私たち
市井の人間の判断力を信じるしかありません。都市間の移動を抑えたり、感染しやすい場所へ立ち入らないようにした
り、また買いだめなどで物流を阻害したりしないよう、私自身も努めたいと思っています。
昨年は日本でもラグビーが話題になり、ファンも急増しました。 かくいう私もようやく基本的なルールが判るように
なり、正直「スピード感と緊張感の連続性にかけては、もしかしたらサッカーより面白いかも?」と思った俄かファン
の一人です。
そのラグビーの基本精神が、みなさんご存知のように「One for all, All for one. 」です。 ただ実は私は最近まで
これを誤訳しておりました。 間違いの元は2回出てくる"one"をどちらも「一人(の人)」と訳してしまっていたことで
本当は後の"one"は人ではなく「一つの目的」、つまり「一人はみんなのために みんなは一つの目的のために」と訳す
のが正しいようです。 だとしたら今の日本にこれほどふさわしく、また必要な言葉はないでしょう。
みなさん、なんとか力を合わせ、この苦境を乗り切りましょうね。
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