今日からいよいよ12月。今年もあっという間に最後の月になってしまいました。
先月、JR北海道函館本線で貨物列車の脱線事故がありました。 踏切の渡し板の
部分のレールが経年劣化で腐食し折れたことが原因と発表されましたが、根が深い
のは、この部分の異常が超音波探傷により発見されたのが9月だったことで、それ
以降も踏切の渡し板を外さずに目視で点検しただけだったことです。
会見でJR北海道は「事故は貨物列車で起きたが、最高速度120km/hの特急でも
起きた可能性があったのか?」という問いに「あったと思う」と答えました。
10月15日のこの欄に「道内に入ってからの特急は遅いし揺れる」と書きました。
私が乗車したのは、今回異常が発見された9月から事故が起きた11月の間ですか
ら、まさに「脱線してもおかしくない」状態だったことになります。
鉄道車両の車輪は、右図上のような構造になっています。 車輪は外側が直径が
小さくなっていて、カーブで車体が外側にふくらむと、カーブ外側の車輪は直径が
大きい部分でレールと接触し、内側の車輪は小さい部分で接触します。これにより
自動車のようにハンドルがついていない鉄道車両もカーブを滑らかに廻ることが
できるのです。 さらにレールから車輪が外れないよう「フランジ」と呼ばれる縁
がついていて、それ以上は外に行かないようになっています。
この「斜めになった車輪でレールと接している」ため、長く使っているとレール
の取付幅Aは徐々に広がってきます。当然フランジまでの隙間B広がります。
物理モデルにしてしまえば、鉄道車両は右下図のように車輪の先細りの勾配と同じ
角度の谷間を、鉄の車輪で走っているのと同じです。いつも左右にフラフラしがち
ですが、フランジに引っかかり脱線はしません。 ですがBの寸法が大きくなると
車体の左右の振れ幅は大きくなります。
千歳線の「快速エアポート」と比べると、同じ在来線でも左右の揺れはかなり違う
気がします。 今回の脱線の原因は腐食の見過ごしだったにせよ、車体の横揺れは
脱線を助長するので、本当に「安全第一」ならば、在来線の精度(基準)も厳しく
したほうがいいんじゃないかと思います
。
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