音風景・夕張

ユーパロ谷 気まぐれ日記

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2008年10月


 2008年10月29日 (水)
 【 90分の効用 】
 鳩山総務相の夕張訪問。 滞在時間90分、市長・知事との会見時間20分。
 
 選挙向けパフォーマンスだの何のという批判もあり、それに対する大臣自身の反論もあるようで
 すが、パフォーマンスと言われるのがイヤならまず結果を形にして示していただきたい。 
 夕張にはすぐに手をつけなければならない問題が山積しているわけですから、診療所の件にしろ
 市営住宅の件にしろ、結果が伴えば誰も何も言いません。

 今の夕張は「検討します」などという悠長な状況ではないはず。 夕張を含め地方のことを真剣
 に考えていただいているなら、せめて年度内で何らかの対応が実施されなくては。
 「90分の効用」の真を問うのは、それを見てからにしたいと思います。


 2008年10月25日 (土)
    MD902エクスプローラー
 【 偶然の符合 】
 9月6日と9日のこの欄で、ドクターヘリの話(6日分)と夕張の隣家のおじさんが亡くなった
 話(9日分)を書きました。
 
 母から聞いて驚いたのですが、実はおじさんが倒れたとき救急車では搬送が間に合わないと判断
 され、札幌までドクターヘリで搬送されたそうです。 私が掲載したヘリの写真は、まさにその
 機体そのもの。 改めて数え直せば、おじさんが運ばれた翌日に私がここにヘリのことを書いた
 ことになり、もちろん偶然の符合なのですが何か不思議な気がしています。
 
 改めて思うのは、夕張のような地域にこそドクターヘリは頼もしいということ。 私が紹介した
 機体はMD902エクスプローラーというのですが、巡航速度は136kt(約252km/h)。 
 夕張から札幌までなら20分で飛ぶことができます。 こういう手段で夕張市内の医療環境をカ
 バーできることが周知されることは、特にお年寄りの安心感に繋がると思います。 来年度は釧
 路や旭川にも配備されるらしいですが、どんどん整備が進むといいですね。


 2008年10月23日 (木)
 【 プロ。 】
 私がよく見る数少ないテレビドラマに「相棒」があります。 往年の「刑事コロンボ」を髣髴と
 させる、というか幾つかのプロットは明らかにコロンボから持ってきただろう、というところが
 返っていいテンポを生んでいるんですが、昨日新シリーズの第一回が放映されました。

 この第一回で、非常に共感を覚えた台詞がありました。 織本順吉演ずる発展途上国に井戸を掘
 るNGOの代表が言う台詞です。

  「それ(ドラマ中では国益を指す)を無視して活動している俺達は、アマチュアだと笑われて
   いる。 外務省とつるんでいる大手のNGOさんから言わせると俺達はてんでアマチュアだ
   そうだ。 人助けをするのにプロもアマチュアもねえもんだと思うんだがな・・・。」

 実は先日の朗読劇の後のシンポジウムで「私達の仲間には、町づくりのプロもいるので、色々と
 アドバイスができると思う」と発言された方がおいでで、それを聞いたとき、私は何とも言えず
 不快な感じがしまして、なんでだろうと自分でも考えていたんです。 ようやくこれだったんだ
 と思い当たりました。 そう、「プロ」という単語が不快だったんです。

 そもそも「町づくりのプロ」ってどういう方なんでしょうか? 考えれば考えるだけ、どういう
 部分をもってプロと称するか疑わしいし、一般的にプロというのは、それを職業としている人、
 言い換えれば代価を取って利潤をあげる方を言うので、そういう意味でもあまり適切な表現では
 ないように思います。 

 そうだよ、いつも「プロ」≧「アマチュア」という図式は成り立たないよなあ、とドラマを見な
 がら変なところに反応していた私です。 


 2008年10月19日 (日)
 【 気になる・・・ 】
 つまらないことなんですが、どうしても気になることというのが世の中あるもんですが、   
 そのひとつで、毎度必ず気になるのが北海道の地名のイントネーションです。 
 
 特にニュースで読むときの「夕張」のイントネーションはいつ聞いても違和感があります。
 一般にニュースで読み上げられる時の「ゆうばり」のイントネーションは
    、「ゆ」が少し低く残りの三文字「うばり」が少し高い発音です。
 言うまでもなく、地元では決してこう発音しません。 地元流のイントネーションでは
    、 逆に頭の「ゆ」が高く、残りの三文字が低い発音です。

 映画「幸福の黄色いハンカチ」でも、発音は上の尻上がりのほうで、映画を見ていて最後まで違
 和感がありました。 夕張のほか例えば「富良野」も北海道での発音と、ニュースやドラマの中
 での発音は明らかに違います。

 発音は基本的に慣習であるはずです。 絶対こうでなければ、という必然など元々ありません。
 ましてや地名など、地元の慣習が一番優先されるべきじゃないかと思うんです。 ですから私は
 主張したいと思います。 「ゆうばり」はと発音してください。  地方を大事にする
 というのなら、まずこういう所からお願いしたいと思います。  頼みますよ、マスコミさん。


 2008年10月16日 (木)
 【 27年 】
 あれから27年が過ぎました。
 1981年10月16日午後0時41分。 北炭夕張新鉱のガス突出事故が起こった日です。 
 
 すでに夕張を出ていた私は、そのとき苫小牧の喫茶店で遅めの昼食をとっておりました。   
 事故の第一報が喫茶店のテレビで流れたのは、午後1時半近くだったと思います。 ニュースが
 流れた瞬間、喫茶店のママの顔色が変わりました。 「私、弟がここにいるのよ・・・。」  

 事故後、すぐにインターロック(自動的にリレーが坑内各部の電源を切る)がかかり坑内は暗闇
 になりました。 噴出したメタンガスに引火することを防ぐためです。 ガス突出とはいっても
 地中に封入されたガス圧は数百気圧に達する場合もありますし、突出量は推定60万m3 、ほと
 んど爆発といっていい状態で噴出したはずです。
  すぐに救護隊が組織され、数班に分かれてサウナ以上の高温になった坑内に入りました。
 22時26分、救護隊M班から叫ぶような声で坑内無線が入ります。「坑内に煙!火災発生。」
 最も恐れていた坑内火災が発生したのは明らかでした。  救護隊M班10名も、とうとう戻る
 ことはありませんでした。

 最終的に93名が犠牲になったこの事故が、炭都「夕張」の運命を決めたような気がします。
 あの喫茶店のママの弟さんがどうなったのか、私はその後を知りませんが、私の友人のお父さん
 もこの事故で亡くなりました。 

 戦前まで遡れば、若鍋鉱では423名が亡くなる大事故も起きています。 炭鉱の歴史は事故と
 の戦いの歴史ともいえますが、たとえ悲しい歴史でも歴史は歴史。 犠牲になった多くの方達の
 ためにも覚えておかなくては、と思っています。


 2008年10月12日 (日)


   2008年夏の北陵中跡地。 かつては
   ここに校舎があったはず・・の場所です。
   (写真右手が丁未方向。)

 【 北陵中校歌完成 】
 北陵中学校の校歌編曲がようやく完成しました。
 何しろご依頼があったのは6月のことで、いつも以上に長くお待ちいただきました。
 
 前に「シンセは基本的に平均律なので一音一音を純正律に合わせることはできない」
 と書いたことがありますが、若菜小学校の編曲中に実はそれができることに気づき、
 今回も要所だけそれを使っています。(全部やってると気が狂いそうなので・・。)
 ほんの一部だけなので自己満足の世界ですけれど、真面目にやると響きは正直に透明
 になる。 電卓必須の計算の連続ですが、私この世界けっこう好きなんです。 まあ
 大体が好きでないとこんなことしませんけどね。
 
 すでに第二小学校の校歌の編曲依頼をお受けしていますので、このあとすぐに取りか
 かります。 今年に入ってこれで7曲目。 間で自作曲も数曲やってますので、少し
 オーバーペースかも。  何よりHP容量が目下一番の心配事かなあ・・・。


 2008年10月9日 (木)




 ハーバード大学教授の
 リサ・ランドール博士。
 この写真でお判りのとおり、
 「天は二物を与えず」という
 言葉は彼女には通用しません。
 ファッション誌「VOGUE」に
 登場した物理学者は彼女
 くらいでしょう。
 【 物理はロマン? 】
 ノーベル物理学賞、三人という枠を今年は日本人が独占ということになったようです。
 さらに化学賞も日本人のかたが受賞したそうで、これは間違いなく快挙です。

 私の世代は、湯川秀樹さんの「中間子論」の世代で、この辺までは何のことかくらいは理解でき
 たつもりでいたのですが、先年の小柴さんの「ニュートリノ」やら、今回の南部さんらの「素粒
 子の対称性の破れ」などというのは、もう何のことか概念すら理解不能。  宇宙の成り立ちに
 関る理論らしいですから、そりゃあ凄いものなのでしょう。(たぶん・・。)

 ただある意味、理論物理学は最も壮大なロマンが残された世界なのかもしれません。 
 以前にリサ・ランドールの「ワープする宇宙」という本を読んでみたのですが、川の流れを横切
 る船を例えに相対性理論の式を判りやすく導き出していて、中々おもしろかった。  彼女は私
 たちの世界の周りは5次元の世界が取り囲んでいると主張しています。  突拍子もない話だと
 思われるかもしれませんが、今年末からジュネーブの地下に建設した一周27kmの環状トンネル
 に設置した素粒子加速器(CERN:欧州原子核研究機構という組織が所有)で実験を行い、5
 次元世界の存在を証明すると彼女は言っています。

 彼女によれば、素粒子の衝突後に破片を全部集めて重さを量ると、実験前より軽くなることがあ
 るそうで、これは破片の一部が別の次元に移ったからだというんです。 大法螺のように聞こえ
 るかもしれませんが、建設費用3500億円という大真面目な実験です。 証明されれば本当に
 一大ロマンではありますね。 そのロマンが数式によって証明されるというのがまたおもしろい。
 物理や数学に夢はないと思っている若い人の理系離れに、こういうことで少しでも歯止めがかか
 れば良いんだけど・・・・などと理系大好きのオジサンは思うのでした。
 


 2008年10月6日 (月)
 【 緑の谷 】
 で、私も「あなたの知らなかった夕張」を見に行ってまいりました。
 私の曲「緑の谷 遥か」は劇の頭と終わりと二回使っていただいたようですが、会場の響きに合わ
 せればもう少しティンパニの音にかけたリバーブを抜けば良かったか、とか作った本人としては
 色々と勉強させていただきました。

 原作者の三瀬さんともお会いして少しお話をさせていただきましたが、今回の演出でも北炭新鉱
 事故をモチーフにして書かれたという原作「仁留川異聞(にるがわいぶん;登場する他の地名と
 ともに架空の川の名ですが、三瀬さんによればイメージはシホロカベツ川のようです。)」がほ
 ぼそのまま使われていて、新鉱の事故の描写なども良くできていると思いました。

 三瀬さんがこの原作を書いたのが1995年、やはり新鉱事故のモチーフが出てくる「交響組曲
 夕張」に私が着手したのが1994年。 再建団体のサの字もなかった頃に同じようなテーマで
 作品を作った二人の人間が、今同じ劇に関ることになったことには「縁」を感じています。

 しいて言えば、コンセプトが財政再建以降の夕張しか知らない夕張以外の人に、より夕張に関心
 を持っていただこう、ということでしたので、夕張の人が見てしまうと「知らなかった」部分が
 がないかな・・・というところでしょうか。
 
 終演後のシンポジウムには、夕張市職員労組委員長の厚谷司さんもパネラーで登場されまして、
 苦しい現状を生の声でみなさんに聞いていただいたことは意義深いことだったと思います。
 (彼は吹奏楽を通じ旧知の仲ですので、「二人してこの場に出るとは思わなかったね」と話して
  きました。)
 
 シホロカベツ川の名はアイヌ語の「シ・ホロカペツ」に由来するそうですが、シは本流上流部、
 ホロカペツは「後戻りする川」という意味だそうです。 120年前に道庁の技師・坂市太郎が
 万字の沢からこの川の上流に達して石炭の大露頭を発見したところから夕張の歴史は始まりまし
 た。 このままだと夕張は、この川の名のように120年の時間を後戻りして、元の深い緑の谷
 に戻ってしまうかもしれない。そうならないためにも、一つでもまずは自分のできることから手
 をつけよう、と改めて思った一夜でした。


 2008年10月3日 (金)
 【 潔さ 】
 先々月だったか北海道弁の話を書きましたが、日本語と外国語だといろいろ訳せない単語が出て
 くるものです。 ウチの子と偶然話題になったのが日本語の「潔い」という単語。 これは英語
 にはないだろう、という話になりました。  試しに和英辞書を引いてみますと、
 「潔い」で出てくるのは「manly:男らしい」「sportsmanlike:スポーツマンらしい」etc・・・、
 どれも日本人の感じる「潔い」とはニュアンスが違うような気がします。
 
 他の外国語についてはどうか判りませんが、訳語がないということは、そういうメンタリティが
 ないということでしょう。 

 そもそもなぜこの話題になったかというと、ロシア人力士の大麻問題があったからで、文部科学
 相が「恥を知れ」といったように、日本人としては悪あがきとしか思えない三力士の態度は全く
 情けないとしか思えません。「潔さ」のかけらもない。 きっと彼らにはこういうメンタリティ
 が元々ないのでしょう。

 ギョーザ事件の中国もそうですが、科学的根拠があっても「サギをカラス」というか絶対に非を
 認めないのが彼らのお国柄なんでしょうか。 日本人にはちょっと受け入れられない。 
 これが外交上だと押し引きの関係でこの態度でも通るかもしれませんが、日本国内では通用しな
 いと思います。 

 相撲を「国技」というのなら、まずここら辺から教えないとダメなんでしょうか・・・。


 2008年10月1日 (水)
 【 北風と太陽。 】
 今日から始まった国会。 
 先々の心配がなくなれば誰も預金なんかしない。 消費だって増え、景気だって上向く。だから
 世界一の貯金大国たる日本では、福祉の充実こそ最大の経済対策・・と思うんだけど、経済学者
 や政治家のお歴々はそうは思わないもんなんでしょうかね。 

 取りやすい所から手っ取り早く税金やら医療費やらを剥ぎ取る事ばかり考えるから、こっちもま
 すまず財布のヒモを締めるのよ。 北風と太陽の寓話、中央のエリートさんは小さい頃お受験で
 忙しかったから読んでないんだろうなあ、きっと・・・・。
 






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